【プレイのきっかけとか】
プレイしたきっかけは公式サイトでした。知り合いがはまっていたのは知っていたけど、正直最初はあんまり興味なかったのですよ。最近ずーっとオンラインゲームしかやってない状態で、コンシューマー・PC含めて、オフラインゲームは情報収集すらしてない状態でしたから。しかもその知り合いが進めてくるくせに、「どんなゲーム?」とか聞くと、「ぐぐれ」しか答えない奴で。半ばめんどくせーなーとか思いながら、話し合わせるために仕方なくぐぐって公式サイトにたどり着き。「森が、世界が虚ろのなっていく」のフレーズと音楽にノックアウトされました。比率的には音楽の方が高かったと思う。
それでも迷いはありました。何よりメーカーがNitro+chiralであるということに。猟奇とホラーは私の唯一苦手とするところで、Nitro+の妹ブランドということと、第一作目の咎狗のイメージがあって(やったことなかったけど)大丈夫かな、とね。ただ同じくらい興味もあったんで、休みの時に秋葉に出かけてきました。ちょうど初回版がロットアップして、通常版の発売までに間がある時期だったんで、探すのにちょっと歩き回ったりしましたが。ちなみにサントラはゲームと同時にゲットしてきました。
【音楽】
私は文章読むのに集中してくると、音楽が気にならなくなると言うか、シャットダウンされてしまうので、これまでゲームやってて音楽が印象に残ってることってあんまないんですよ。昔、「セラフィムスパイラル」をやったとき、友達から「音楽よかったよね」と言われて「どんな音楽だったっけ……」とか素で考え込んだくらいに。全然記憶に残ってませんでした。それでもゲームによって好きな音楽とか、印象に残った音楽ってのはありますけどね。使い所で言えば、「Fate/hollow
ataraxia」の「last piece」とか。ステンドグラスが割れるのと同時に曲調が変わるのがすげーと思いましたよ。
まあ、Lamentoの話に戻します。これも音楽の使い方は上手いなーと思いました。特にコノエが初めて歌うシーンとかは震えがくるくらいでした。ただ、ん?と思ったのもあるのは事実です。そんなに大事なシーンじゃなくても無駄にかっこいい音楽が流れてくるときとかありましたよね。特にカガリが出てくるところとか。声つきのかっこいい音楽が流れてきたから、これは大事なシーンなのか?と思ったら実にあっさり終わってしまったり。あと欲を言うならですが、最後のリークスとの対決シーン、シュイに新しく曲を教えてもらってそれを歌うという流れなら、それまでと同じ「伝承の歌-Vox-」ではなく、そのシーンのためだけに専用の挿入歌があってもいいんじゃないかと思いました。
まあ、音楽は本当にいいので、大満足です。サントラ聞いてると、やっぱり「あれ、この曲どこで流れてたっけ」っていうのがいくつもありますけれども。ヴォーカル曲はどれもみんな好きですし、それ以外だと藍閃のテーマとか、リークスのテーマとかも好きですね。ライのテーマとかアサトのテーマとかあげないのは、どの曲かわかってないからです。もっとわかりやすいタイトルつけてください(笑)
あとLamtntoがきっかけで他のNitro+ゲームのサントラとか、ZIZZに興味を持つようにもなったので、それは素直にありがたいと思ってます。
【グラフィック】
これも文句なしの一言に尽きます。立ち絵の多さ、微妙な表情の変化まで描き分けているスチルとか。アサトとキスしてるスチルが好きです。発情期のはコノエがおっかなびっくりでとまどってる感じだし、通じ合う思いの方は熱にうかされた感じで、アサトに対するコノエの心の変化が絵だけでも伝わってくる。表情の描きわけって、すごく大事だと思います。特に目の描きわけのできる絵師さんってすごい!とか思うんですよね。尊敬。あと個人的にですが、コノエの足が好きです。特に太股から膝にかけての曲線がたまらない。なんですか、あのエロスは! 引かれるの承知で友達にコノエの足のエロスについて語っていたら、意外にも同意してくれる人が多くて、嬉しかったり。類は友を呼ぶって奴ですか?(笑)
あとグラフィックに関して、もう一つ。背景が美しい! これは最初に公式サイト見たときにも思ったことだけど、ここまで緻密に描き込まれた背景って今まで見たことないです、タブン。特に森の中とか、藍閃の街のごったな感じとかが好きです。
んで、ここまで書いたあとによそのサイトさんのレビューを見たりして、複数の方が原画描いてたというのを知る私。どれがたたなさんでどれが違うのか、正直まったくわかりません。Lamentoやるまでたたなさんをほとんど知らなかったというのもあるんでしょうが……。ただ、場所によってなんだか雰囲気違うなと思ったスチルとかもあったので、それが原画描いてる人の違いでもあるのかもしれないです。よくわかってないけど(笑)あとたまに猫耳のついてる場所が変なんじゃ?と思う立ち絵やスチルとかはありました。特に違和感覚えたのがシュイ(フードなし)とライ。コノエのスチルでもいくつかあったかな。ちなみにLamento知らない人に、曲だけ勧めるつもりでOP紹介したら「なんで犬耳ついてるの?」と聞かれました。「猫だ!」と主張したんですが、「耳が微妙に離れてるからこれは犬だ」と言われてしまいました。……そんなもの?
【システム】
エロシーンで頻繁に落ちるとか、動作が不安定言われてましたが、うちのPCではそれはなかったです。ただパッチ当てる以前は起動が2回に1回らいの割合で失敗していましたが。あとCGモード見たい時とかの重すぎるのは何とかして欲しかったです。全然動かなくて、フリーズした?と思うときもしばしば。あとシーン鑑賞がエロしかなかったのもちょっと不満です。咎狗の時みたいに、EDも入れて欲しかったです。あとCGモードに収録されないスチルがあるのは仕様です、っていうのは正直ないんじゃないかと思いました。
演出なんかもうまいですよね。アップにしたり、動かしたりで一枚のスチルを多様に見せてくれたり、画面を揺らして立ちくらみとか、押し倒されるとか、そういうのを表現したり。
【シナリオ】
萌えた。この一点に尽きる。個別のエピソードは本当にすばらしいと思う。ちょっと考えても萌えたエピソードには事欠きません。途中の展開がだるいとか序盤がーとか言われてますが、私はそれほど気になりませんでした。ゆっくりとした展開は好きだし、心情なんかも丁寧に書かれてると思います。もどかしい所も多いけど、そのもどかしさがいい!って思う私は少数派ですか。萌えた萌えたと繰り返しても仕方がないと思うので、この辺で止めておきますが。キャラなどもみんな魅力的に書くかれていたと思います。
以上が、シナリオでよかったと思えたところ。以下、シナリオに関する不満点行きます。
多いので、例を挙げつつじっくり語ります。かなりきつめの意見もあるので、Lamentoの批判が許せない人は見ない方がいいかと思います。
まずは誤字脱字の多さと、スチルと文字のかみ合っていない場所について。
特にバルドルートにおいて顕著だったように思います。薪を右手に持って、って文章ではあるのにスチルでは左手に持っていたり、クライマックスでは左手に剣を構えって文章にあるのに、スチルでは右手に構えていたり。ついさっき、右手使えないようにしてませんでしたか、バルドさん。
攻略キャラが少ない。
このボリュームで三人はないんじゃないかと。それぞれ個別にルートががっしり分かれているならともかくも、共通部分長いですしね。1シナリオ辺りの容量削って、攻略キャラ増やして欲しかったです。トキノルートとリークス救済できる真ルートの追加とかで!
ゲームと呼ぶには選択肢も少ない。
特に各キャラのルートへはほとんど選択肢一つで分岐するようになってるので、感覚としてはゲームというよりも、サウンドノベルといった方が近いように思います。というか、実際にゲームの進行に関わってきてる選択肢ってほとんどないんじゃ? 序盤で悪魔の選択肢が出てきたときにはこれがどんな分岐につながるんだとドキドキしましたが、ほとんど影響がないと知ってがっかり。おかげで、ゲームの中盤、悪魔に同じ質問を投げられるところでも緊迫感がないというか、拍子抜けしました。それまでの選択肢が複数あって、どれを選んだかによって悪魔に食われるか、食われないか決まるというのならともかく、影響する選択肢は一つだけで、他は何を選んでもいいというのはね。最初の選択肢と、途中の感情に関する選択肢、そしてこの最後の選択肢でいくつ以上間違えたら悪魔に食われるとかでもよかったように思うのです。何もしてないのに、いつの間にか危険が去っていて、山を越えたとか、揺るぎない心を持っていたとか言われても、違和感しかわきません。悪魔EDはここに一つと、各ルートで選択肢を間違えたときにもう一つ、って感じで二つあってもよかったんじゃないかなーと思います。で、猫三匹とは別にリークスを救済できる真ルートがあって、ラゼルがそっちに絡んでくるとか。妄想しすぎですか。
同様に、選択肢の少なさを不満に感じたのはアサトルートでした。実質選択肢と言えるのは、ウルキルと対峙したときにライが来るかアサトが来るかを選ぶのと、BADEDへの分岐だけ。その後はまったく選択肢がなくて、EDにはあっさりアサトが元に戻ってしまってる。非常にご都合主義に思えてなりませんでした。もう少し細かく選択肢を用意して、アサトとの親密度というか恋愛度みたいなものを設定してもよかったんじゃないかと思います。アサトの感情値がMAXの場合のみアサトが元に戻るけど、それ以外の場合では獣のまま。迷いの森で猫目を避けて二人でひっそりと暮らす、という感じで。どうやってもアサトがあっさり元に戻ってしまうので、「どんな姿になっても側にいる」というのが薄っぺらに感じられました。元に戻らない可能性の方が高いからこそ、アサトが元に戻るということが光り輝いて見えるんじゃないかと思います。
設定に矛盾というか穴が多い。以下、言いがかりっぽいものもありますが、つらつらと。
共食いの設定がまずおかしい。肉の軟らかい雌や子供は真っ先に食われたとかありますが、雌を滅多に見かけなくなるほど数を減らしてしまったのなら、それは種として滅びるしかない気がするのですよね。いくら藍閃で雌を保護して機械のように子猫を産ませるにしても、多産ではないようですし。あと共食いにしても頻度高すぎるような。ゲーム始まって1日目に共食いで二匹死に、4日目にはコノエに次の生け贄のご指名が来てましたし。そのペースで食い合ってたら、あっという間に死滅しますって。まあ、食事にしても毎日食べる必要がないという描写がある反面、バルドが宿で三食用意しているように思えるとこともありますし、この辺一貫してないようですが。
各街の距離がどれくらいあるのかっていうのも疑問です。コノエが最初に火楼から藍閃に行こうとしたときは森の中で二泊してますが、藍閃から行くときは火楼にたどり着き、少し引き返して森の中に一泊で翌朝藍閃に戻ってます。最初のはコノエが道に迷っていたからだとしても、迷いの森ってそんなに大きくないんじゃ?って思えて仕方ありませんでした。で、徒歩で一日かからずにつけるところに飢えて共食いしてる街があるのに、藍閃はみた感じ物資が豊富で飢えてる感じもしない。それがちょっとどうなんだろうとか思いました。普通にお祭りとかごちそうとかやってるし。アサトの皿に嫌がらせのように木の実を山盛りにするくらいなら、飢えて共食いしてる猫たちに分けてやってくださいと言いたい。間に森があるから、というのもあるにはあるんでしょうが、商人だけに知られている道、と言いつつ、あの道は結構知られてそうに思うのですが。バルドもライも知ってましたし。あとあの道はリークスがシュイのために作ったのだと思うのですが、それなら藍閃から砦にしかつながってないんじゃ?って思うのです。でも道は火楼までつながっていたっぽいですし……。それにシュイが迷わないようにって草の色変えたのが見事に他の猫の道しるべにもなってますし。よくそれで他の猫が迷い込んでこなかったものです。あ、道がなんで火楼までつながってるかってのを考えてみました。当初藍閃から砦までだけのつもりだったのが、シュイが火楼にいくのに道に迷ってたどり着けないとかいう話をリークスにして、それを聞いたリークスが「仕方ない」とか言いながら藍閃と火楼の間に道を作ったとかなら可愛いなーとか。リークスが(笑)
それから年齢に関して。コノエがアサトに会ったときに、自分より一つ二つ上だろうかと言っています。そしてリークスやシュイとの過去の話を見る限り、コノエが生まれた頃から虚ろや失躯の症状が出始めているようです。にも関わらず、アサトが生まれた時点で、吉良に雌猫はアサトとカガリしかいなかったと後に言われています。この時点であれ?なのですが、アサトが生まれた時点で他に雌猫が居なかったということは、吉良でアサトが一番若い猫ということに鳴るんじゃないかと思うんですよね。つまりあと50年もしたら驚異の高齢化が吉良を襲うわけか、と思ったり思わなかったり。それは吉良に限らず、祇沙全体について言えそうですが。
EDの時に表示される桜にも違和感を覚えました。EDの時に表示されたのは吉良と殺羅と藍閃。いずれも春で、桜が咲き誇っていました。殺羅はゲームの中には登場してないので、まだいいとしましょう。でも吉良と藍閃はゲーム中に登場してます。ゲームの中の時間は、秋から冬に向かうところ。雪も降っていたし、冬と考えて差し支えないでしょう。(それにしてはアサトとかバルドとかやけに薄着ですが)で、ゲーム内で表示される森は緑なんですよね。桜は広葉樹です。秋から冬には落葉します。だから桜はないんじゃないかなーって。しかも祇沙のモデルはアイルランドとか聞いた気がします。春=桜ってのは日本人固有の概念じゃないかと思うんですよね。別に春だからって桜持ってこなくてもいいのに、って心の底から思います。
先の展開が読める。
よく言えば王道、悪く言えばありきたりと思えるとことも多いかと思います。
例を挙げれば、藍閃の先の祠に向かうときとか。リークスが何か仕掛けてくるようなことを言っていたのに、なぜ途中の村で一泊しますか? 村が出てきた時点で、村の他の猫がゾンビ化して襲いかかってきそうだなと思ったので、悠長に泊まってないで、さっさと村から出ればいいのにと思ってました。人々に恐れられている闇の魔術師が敵だとわかっていて、その敵が途中で仕掛けてくるようなことを言っている。その途中で村にたどりついたなら、相手がどういう手段に出てきそうなのかわかると思うのですが……。別にあの村に泊まらなければいけない必然性もなかったですし、もうちょっと警戒しろと言いたい。世間知らずっぽいコノエとアサトはまだしも、世慣れしていそうなライなら、その程度のこと気づいてもよかったんじゃないかと思うんですよね。なのでライが何も反対せずに村に泊まることになったのはあれ?って感じでした。この辺、ライターにとって都合のいい展開に思えてなりません。
あと両親の形見の指輪にしても、取りに戻る必要があったのかな、と。記憶を読んでも、それがリークスを打倒するのに役に立ったかと言えばそうではないわけで。シュイに指輪を渡して、歌を教えてもらうシーンはありますけど、別に指輪がなければ教えてもらえないってわけでもないでしょうし。あれは単に火楼の状態を見せたかっただけにしか見えません(実際そうなんでしょうけど)。なんかしっくりしないイベントの一つです。
あともう一つ挙げるなら、ライルートの山場、カガミ湖での「俺が殺すから」の台詞。非常にいいシーンだとは思います。見せ方もうまかった。でもあれを見たときに一番に思ったのが「よくある展開だな」ということでした。効果的ではあるけれど、使い古された感じのものだと思います。(私も二次創作で使ったことのある台詞ですし)それまでの展開から、絶対この台詞は出てくるだろうと思っていたので、言われたときも「ああやっぱり」な感じがしました。
あとはアサトルートの終盤、アサトが元に戻るところとか。ご都合主義に見えてしまう部分も多々あるのですよねー。
シュイの存在。
ちょっと万能すぎやしませんか、お父さん。コノエが迷ったときとか、呪術師を捜しているときに現れて道を示してくれるというならともかく、ピンチの時に現れて毎回救ってくれるというのはやりすぎです。ライルートのクライマックス、二人で刺し合ったときは「おお!」とか思ったのですが、その後のお父さん登場でかなり気分的に萎えました。ストーリーがご都合主義に見えてしまう最たる要因だと思います。力の強い賛牙だったから、だけではすまされないほどにシュイは万能過ぎます。いっそ、カルツみたいに悪魔になっていてくれて、影から力を貸してくれた方がまだよかった。っていうかですね、シュイがそんなに万能なら、コノエの聞きが及ぶ前にリークスをなんとかしていて欲しかったんですが。まあ、そうしたらストーリーが成り立ちませんが。
あとは最後、クライマックス間近で「生きていることを実感できれば、そのあとで死んでもいい。そんな瞬間を見つけろ」とシュイに言われて、その直後にコノエが「今がそのとき」みたいに思うのはちょっと安直にすぎやしませんか。それが最初にシュイに会ったときに言われた台詞で、そのときはそんなときが来るわけないとか鼻で笑っていたのが、攻略キャラとの交流を通じてコノエの中で心境の変化とかがあってそういう物が理解できるようになって、クライマックスで今がそのとき……!と感じたというならともかく、クライマックスに言われて、直後に今がそのときだ……と感じるのはひねりも何にもないですよ。正直あの安直さにはちょっと萎えを感じました。
リークスの動機。
ちっちゃいですね。思わず唖然としてしまうようなものでした。シュイやその子供であるコノエへの復讐の動機というならともかくも、世界を破滅に導くための動機としてあれはどうなんでしょうか。いくらなんでも思考が飛躍しすぎじゃないかと思いました。誰かに裏切られ、それが原因で大切な人を亡くしてしまったっていうのなら世界に復讐したくなる気持ちもわかるんですが(ダイの大冒険のバランとか)、裏切られたという思いこみで世界を滅ぼしちゃえ☆につながるのは、ちょっと無理がありすぎる。裏切られたと思った割にはシュイのために用意した道がそのままだったり、っていうのもどうかと。
【雑感】
満足した点よりも不満点の方に長々と書き連ねてますけど、私はこのゲームが大好きです。今までやったゲームと比較して考えても、出来はいい方だと思うし、萌えという点ではこれより萌えたゲームはないんじゃないかと思います。普通ノベルゲームは一度クリアしたら二度目は滅多にプレイしなかったりするんですが(SS書くのに台詞取りたい場合は除く)Lamentoは結構再プレイやってます。しかもスキップなしで!(個人的に18禁BLゲームの中では最高の完成度を誇ると思っているのが薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲クなんですが、このゲームですら既読はオールスキップしたし、シナリオ分岐の多さと相まってコンプはできませんでした。)それ故にいろいろ惜しいと思ってしまうわけです。
2007/05/24
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