【きっかけ】
何となく買ってみたCool-Bに記事が載っていたので。子之とか郭隗とかの名前を見て、「燕の昭王がモデルかな」と思うと同時に、興味と、購入に対しての迷いを感じました。歴史物はわりと高確率で地雷になったりするので。時代考証とかが気になってしまって、純粋に楽しめないこと多いです。これは一種のファンタジーなんだと割り切ってそういうの気にしないでいられればいいんでしょうけどね。でも歴史物自体嫌いなわけではないので、悩むわけです。あまり知らない国、知らない時代ならともかく、この時代はそこそこ知識もあるわけで……。
結局、ネット上でそこそこ評判がいいようなのと、低価格だったこともあって購入しました。価格はDL版3200円、パッケージ版3800円ですが、店頭では定価よりも値引いて売っていることも多いので、DL版以下の金額でも買えたりします。まあ、パッケージ版で買っても取扱説明書が付いてくるわけでもなく、CD-ROMとユーザー登録葉書が一枚付いているだけなので、特にこちらを買ったからといってメリットがあるとも思えませんが。
【サウンド】
特に不満はないです、としか言いようがない。ただ逆に取り立てて耳に残った曲とかもないです。声優さんの演技はどれもお上手だったと思います。特に音声カットすることなく聞いていられました。
【グラフィック】
主人公の容姿は好きです。絵も特に苦手な感じの絵ではないですね。ただスチル枚数が35枚と少なめ。これは価格からすると仕方ないかな、って気もしますが。
気になったところをいくつか挙げるなら、主人公の笑い顔があくびをしているようにしか見えなかったり、郭隗の鎧を取った姿がパジャマのようだったり、あとは郭隗×子之の襲い受けの所のスチルで、郭隗の上にまたがった子之が両足そろえて閉じてるのがちょっと気持ち悪かったです。
あとはスチルによって主人公の一物の大きさがかなり違っているのも気になりました。明確に比べたわけではないですが、2-3倍くらいは変わってそうな勢いでした。小物の大きさや形がスチルや立ち絵によって変わっていたり、左右が逆になっていたりっていうのは見たことがありましたが、これは新しい、とか思ってしまったり(笑)3倍の大きさになってるのは、唯一といってもいいくらいのラブい相手とのシーンだったので、興奮度が違ったのでしょうか。
【システム】
文字が表示される枠の周囲に、「記憶」「自動」「早送り」「設定」と表示される他に、画面上部にカーソルをあわせると、タイトルに戻る他、BGM・効果音・音声の設定などが可能になっています。
セーブをするには画面右下から設定→ゲームをセーブする→セーブ画面と何度かクリックする必要があったのが少し面倒に感じました。画面上部のショートカット?にセーブとロードのコマンドも入れてくれれば、よかったのにと思います。あとはバックログがマウスのホイールだけで操作できなかったのが個人的にマイナス要素です。あとはスキップの速度がそれほど速くなかったり、既読かどうかの判定がないのも最近のゲームには珍しいかと。まあ、選択肢自体そう多くはないし、選択肢ごとに完全に話が分岐していたので、そこまで不便とは思いませんでしたが。
シーン回想がないので、特定のシーンの前でセーブを取っておきたいと思ったときに、セーブ箇所8カ所は少ないかもしれません。
【シナリオ】
特に読みにくい所、引っかかる表現などはなく、読みやすい文章でした。最初中国舞台で金髪碧眼はないんじゃと思いましたが、その理由もちゃんと説明されていましたし。ただ主人公の甘ちゃん具合がちょっと鼻につく感じはありました。どのルートでも、ということでもなく、TRUEルート限定ですが。戦いの場において、相手を殺したくないってのは無理ですよ、お坊ちゃん。正直、子之や檜光の苛立ちもちょっとわかる気がしました。あと子之が昭洸を陥れた理由が「そんなものかよ!」と突っ込みたいものだったくらいでしょうか。政治的に見て、昭洸だと頼りないとか、能力があるのに王座につけない檜光が不憫だ、とかならまだよかったと思います。なんていうか……檜光が哀れですね。山の民の首領になる場合のHに入る前の展開が少々急過ぎるかなとも思いましたが、それ以外のHはまあ陵辱系なので、展開が急であろうと気にはならなかったです。ただ陵辱Hの際の主人公の開発され具合がちょっとあり得ないだろうと思える早さでした。Hシーンもなかなか濃厚でよかったと思います。ただ萌えはさほど感じませんでしたが。
【雑感】
楽しめました。ストーリーなど長くはないですが、まとまってますし値段が驚きの低価格だったこともあわせて考えれば、悪くないと思います。ただ公式サイトに書かれているように、中国史ファンがこれを純粋に楽しめるかと言われると、微妙な気もしますが。8月に続編が出るそうですが、たぶんそれも買うと思います。ただ7月の終わりに鬼畜眼鏡、8月の終わりにコイビト遊戯が待ちかまえていることを思うと、すぐにプレイする余裕があるかどうかはわかりませんが。
で、以下に気になった点をつらつらと。重箱の隅をつつくような物ですが。
・称号など
作中で昭洸は皇太子と呼ばれ、檜光の生母も皇太后と書かれています。が、燕は王国であるので、王太子、王太后が正しいんじゃ?って思いました。そもそもこの時代の本で、王太子という名称自体あまり見ない気がします。たいていは太子としか書かれてないないような。なので、TRUEの最後に昭洸が太子・平を名乗るというのも???って感じました。もともと昭洸は王太子であったわけですが、わざわざそれを太子と言い換え、改名する理由がわかりません。この辺は史実に合わせたかっただけかもしれませんけどね。あと昭洸の父親が燕の初代国王であるように書かれていますが、王を名乗った初めての君主であって、建国したわけではないんだよなと思ってみたり。
・乗馬
山の民が出てくる辺りで、燕の軍隊が落馬したという描写が見られます。が、古代中国において戦いは戦車が主だったのですよね。趙の武霊王が胡服騎射を取り入れて、それ以後中原の国でもそれが主流になってきますが、武霊王が胡服騎射を取り入れたと言われているのが紀元前307年。趙の国内でも中華の風習を捨てることへの反発があったことを思えば、数年のうちで他国にまで広まるものかな、と。また両鐙の発明は中国では4世紀頃と言われています。鐙のない馬に乗るのは熟練を要するので、一兵卒が可能なことではありません。また騎射と違って馬上突撃などは鐙がないとまず不可能、という文も読んだことがあります。
・名前
趙魏ってあからさまに偽名っぽいと思ったのは私だけでしょうか。また登場人物達はそれぞれ郭隗、趙魏などと呼び合っていますが、この場合の趙は姓ですよね? いくらなんでも父親が息子を趙魏とフルネームで呼ぶのは変だと思います。魏、だけでいいんじゃないかと思いました。
2007/06/09
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